防災×テクノロジー×SDGsレポート
ITで実現する災害対策の進化形
防災でつなぐ地域社会
ITで実現する災害対策の進化形
防災でつなぐ地域社会
テクノロジーで社会貢献
広く最先端のITソリューションを提供しているベルグループ。milab(株)は、「技術探険と共創で、社会に安心を届ける」という同グループのパーパスを土台に「未来の防災を地域と共に想像する」という想いを込めて設立されました。現在、技術と知恵を駆使して「効率的な災害備蓄」や「避難所でのQOL向上」などに取り組んでいます。
HP https://www.milab.bell-group.jp/
インタビュー
milab株式会社 代表取締役社長 狩野貴史さん
災害対策においてITができる3つのこと
例えば避難用のヘルメットをつくったり、備蓄食を開発したりと、社会に対する防災の取組みにはさまざまな形がありますが、私たちはITやデジタルに強みを持っていたので、この分野で社会貢献すべく当社を立ち上げました。社会の仕組みをテクノロジーの力で変化させることで、効果的な防災対策ができると考えたのです。ここでは、主に次の3つの取組みについてご紹介させていただきます。
①必要なものを必要な方へ…『防災備蓄最適化』
②防災備蓄のローリングストックの実現
③「尊厳(いのち)」が尊重される避難生活の実現
②防災備蓄のローリングストックの実現
③「尊厳(いのち)」が尊重される避難生活の実現
『防災備蓄最適化』で消費期限が迫った物資を必要な人へ
どのような防災備蓄品がどこに、どれだけあるのか。これを自組織のみならず、他の組織や企業、自治体など、地域全体がデータで共有することによって、必要な物資を必要な場所に無駄なく届けることができるインフラを構築することができます。災害時は「アレルギーのある方が食事に困る」という問題が発生していますが、ピンポイントにアレルギー対応備蓄食を届けることもできるでしょう。当然、データには備蓄食品の消費期限も記録されているため、計画的に補充プランを立てることができます、さらに、消費期限が切れてしまってから廃棄するのではなく、期限切れ前にフードバンクや子ども食堂、各ボランティア団体に寄付することで、食料が無駄になることなく、本当に必要な人に行きわたります。
milab(株)HPより
地元流通企業等を巻き込んだ『防災備蓄管理』
通常、企業や自治体が災害時に必要となる備蓄品全量を確保することは難しいと考えられます。相当な量になりますし、保管する場所がないことも多いでしょう。そこで、私たちは備蓄品の一部を地域の地元流通企業等に委ねることを提案しています。彼らに在庫を多めに保管してもらうのです。流通企業においては、常に古い品物から売れていき、循環していくため、ロスが発生することがありません。有事の際も、新しく、日ごろから食べている物が手に入ります。これらは備蓄品でなく、通常の食品なので安価で美味しいということもメリットです。私たちは、「BxLink(ビーリンク)」というサービスにおいて、さまざまな備蓄品をクラウド上で管理することにより、関係者がリアルタイムに防災備蓄管理ができるよう、支援をしています。
milab(株)HPより
『避難生活のQOL向上』でいつもと変わらない生活を
先に紹介した内容を実践することで、有事の際も避難所において日常生活に近い食事や物資を使用することができます。有事の際に日常を。これが、避難生活においても希望を失わず、生活再建に向かって歩みだす原動力になると思います。例えば、イタリアでは避難所でワインが提供されることもあるそうです。私たちは、災害時にこそ皆さまにできる限りのリラックスを提供するため、これからも取組みを続けてまいります。そしてそれこそが、避難所などで発生してしまう二次被害である「災害関連死」を防ぐポイントになると思います。
狩野さんから読者の皆さまへのメッセージ
皆さまの不安や要望をお聞かせください
皆さまには、有事における心配事や避難所での希望を、私たちや自治体などに伝えて欲しいです。地域には地元に貢献したい方々が多くいますし、私たちは支援のネットワークを構築することができます。特に、アレルギーや持病、障がいをお持ちであったりと、災害時の要配慮者の方のご意見は重要になってくると思います。ぜひ、平時から声を上げていただければ幸いです。
※狩野さんが日本の地域防災について語ったインタビューをこちらから視聴いただけます
取材を終えて:副編集長 大槻一敬
防災対策を特別な取組みとせず、日常生活の循環の中に組み込むことができるmilab㈱のシステム。フードロス対策やフードバンクとしての活動にも連動しており、複数の社会問題を同時に解決することも可能です。より多くの方々にこの支援の傘に入って平時の安心と有事の安全を得て欲しいと思いました。